道路には様々なものが落下しています。原因は(主に)トラックからの落下物ですが、実際に落下する瞬間に遭遇された方は少ないと思います。
この記事では前を走行している車両の積み荷が落下してくるか少しでも事前予測できるように解説しました。
運転免許取りたての方や、普段あまり自動車の運転をされない方におススメです。
実際何が落ちている?
令和2年国土交通省HPデータによると1年間に全国の高速道路上で処理した落下物は合計32.0万件【ロードキル抜き26.7万件】※ロードキルとは動物の死骸など
国土交通省高速道路会社の落下物処理件数(令和2年度)より引用
データからプラスチック・布・ビニール類が最も多く続いて自動車部品、木材類が多いです。
高速道路だけでも全国のどこかで毎日730個以上の物が落下している。
なぜ車両から物が落下するのか?
落下物を発生させる可能性が高い車両として平ボディ車両が考えられます。
実際に何枚か写真をとりましたので、落下する物の種類や可能性について解説していきます。
後ろの走行を避けたほうが良い車両
1例目【ダンプタイプ】
横に板が立てかけてあります。これは積載物をよりたくさん積むためのテクニックですが、見た感じ荷物を積んでいません。
なのでもしこの板が固定されていないと後方へ落下する可能性があります。さらに、この板見た感じボロボロなので風の力で板の破片が飛んでくる可能性もあります。
2例目【平ボデー(4t車)】
この車両は足場屋さんでしょうか、一見積載物がキレイに積んであり、ロープで固定されています。
しかし、荷物の上に軍手などを置き忘れたり、走行中の振動で荷物が噛み合ったり、ロープが緩みパイプなどが落下する可能性があります。さらに結構高積みされていますが3.8m以下かどうかは不明です。(低い電線などに引っかかる可能性があります)
3例目【平ボデー(2t車)】
この車両は一見大丈夫そうですが、荷物の上に軍手などを置き忘れたり、荷台上に軽いものが置いてあると落下する可能性があります。
4例目【平ボデー(3tor4t車】
この車両も一見積載物がキレイに積んであり、ロープで固定されています。
しかし、荷物の上に軍手などを置き忘れたり、走行中の振動で荷物が噛み合ったり、ロープが緩み積載物が荷台上で崩れると落下する可能性があります。
良い例
良い例【平ボデー(2t車)】
この車両と他の車両で決定的に違うところは、幌(ホロ)シートが掛かっているところです。
幌シートが無くてもほとんどの場合積載物が落下する事はありませんが、橋の上など風が強い所や振動のあるところで積載物が落下する可能性があります。
ですので、幌シートが掛かっていないトラックの後ろを走行するときは車間を十分にあけるか、基本的には走行しないようにしましょう。
運転手や同乗者は落下物に気が付かないのか?
以上の写真は全て平ボデー車両ですが、基本的にドライバーは落下物に気付かない事がほとんどです。理由としてほとんどの平ボディ車両には「バックカメラ」が取り付いていません。(取り付いている車両も中にはあります)なので見えないのです。
また、運転席から後方を確認する窓が積載物などでふさがれていると、積載物を落下させても気が付かない場合があります。
大抵異変に気付く場合は荷台で「ガシャン!!」と荷崩れした音が鳴った場合です。
しかし荷崩れしても高速道路上などでは急に止まるわけにもいかず、安全確認して路肩に停車しないといけませんので、落下物が発生する可能性のある車両の後ろは基本的に走行しないようにしましょう。
落下物が原因で事故を起こしたときは誰が悪い?
落下物は落とし主の責任?
落下物が原因で事故を起こした場合、基本的には落とし主が罰せられます
〝道路交通法 第75条の10
自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、(一部省略)積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。”
道路交通法より
以上の事から落下物による事故は落とし主の責任になります。
しかし、事故を起こしたときは絶対ではないです
一般道路であなたが事故を起こしたときの過失割合【相手7:あなた3】
理由は、まず一般道路では前方車両の積載物が落下してそれと接触してあなたが事故を起こした場合、前方不注意や、速度超過とみなされると、過失割合が必ずしも【相手10:あなた0】になるとは限りません。だいたいの場合は【相手7:あなた3】で落ち着くことが多いとの事です。
高速道路であなたが事故を起こしたときの過失割合【相手6:あなた4】
一方の高速道路では落下物による事故が大事故になる可能性があり、落下物をよけれなかったという事はあなたが車間距離を十分に取れていなかったとみなされ、【相手6:あなた4】の過失割合が定められています。
つまり、落下物が原因であなたが事故を起こした場合ほぼ確実にあなたは損します。
被害者のようで加害者でもあります。
相手が分からない場合はどうなるのか
先ほどの内容は”相手が確実に分かっている場合”の過失割合です。
もし、誰が落としたのか分からない落下物が原因で事故を起こしたらどうなるのかについて解説します。
自損事故(単独事故)の場合
自損事故扱いになりますので、あなたが加入している車両保険へあなた自身で連絡して、補償を受けて修理をすることになります。
また、保険を適用する場合は【交通事故証明書】が必要になります。
発行方法は事故を起こしたら警察に連絡をする事です。もちろん事故なので警察に連絡するのは義務ですが、なんか悔しいですよね。
あなたが原因で事故の相手がいる場合
残念ながらあなたの過失になることが多いようです。
まとめ
・前方車両が平ボデートラックの場合(軽トラ含む)幌シートがかけてあるか確認し、掛かっていなかったら後ろを走る事をやめる。または車間を十分にあける。
・落下物は落とし主の責任ですが、過失が10:0になるケースはまれです。
・落下物の落とし主が不明であなたが落下物と接触やよけようとして他の事故を発生させた場合は
あなたの責任になります。
・運転中は速度を出しすぎず、前方との車間を十分にとり、落下物が発生する可能性が高い車両の後方は走行しない事が一番の対応策です。
おわりに
ここまで読んでくださいましてありがとうございました。
普段何気なく自動車を運転していると、落下物を発見する事がありますよね。
しかし、いざ目の前の車両から積載物が落下すると急ブレーキや急ハンドルをきって交通事故の加害者になる可能性があります。
しかし、幌シートを掛ける事は道交法で定められていないので、万が一のリスクを回避するためにも「ご紹介した車両の後ろは走行しない」が一番の対応策だと思います。
これからも物流に関する記事を発信していきますので応援の程宜しくお願い致します。