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【改正道路交通法】令和4年(2022年)5月13日施行で19歳から大型・中型免許取得が可能に

ついに大型・中型免許取得の受験資格を見直しへ

「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令」が2月10日に公布され、令和2年に改正された道路交通法に盛り込まれていた「大型・中型免許取得の受験資格の見直し」が実現することとなりました(令和4年5月13日施行)。
今回の改正では、19歳から大型・中型自動車免許の運転免許試験を受けるための教習の課程に係る指定の基準が定められたほか、普通自動車免許等を受けていた期間が通算して1年以上で大型・中型自動車免許の運転免許試験を受けるための教習の課程に係る指定の基準が新たに定められることとなります。 

  パブリックコメント

19歳から大型トラックや大型バスを運転できるようになります

大型・中型免許取得の受験資格見直しの経緯

トラックによる交通死亡事故の削減と、若年者の雇用促進を図るため、「準中型免許」の改正道路交通法が、平成29年3月12日に施行されました。
これにより、車両総重量3.5トン以上7.5トン未満等の自動車が新たに「準中型自動車」として新設され、普通免許の経験を問わずに、18歳で準中型免許が取得可能となりました。一方で、中型免許と大型免許取得の受験資格はいままで通りとされたため、いわゆる4トン車以上の免許取得には時間がかかりました。

大きな事故などで大型免許取得までに段階が設けられ、大型免許を取得するまでに時間とお金がかかりすぎた理由もあり乗務員不足を加速させました

バス・タクシー業界が先に動く

少子高齢化と生産年齢人口の減少に伴い、ドライバー不足が一層深刻化している状況を踏まえバス・タクシー業界から、第二種免許取得の受験資格に関し、年齢要件および経験年数を引き下げることにより、若年運転者の確保に繋げようとする動きが生まれました。

政府は、平成28年6月に発表した「規制改革実施計画」および平成30年5月に取りまとめた「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画」において、第二種免許制度の見直しに向けた検討を実施する旨決定しました。

トラック運送業界も動き出した

トラック運送業界においてもトラックドライバー不足が深刻化し、高齢化ドライバーの進行やEC(ネット通販)の拡大による荷量増加の状況にあることから、大型免許および中型免許についても大型第二種免許と相応の引下げ措置を要望し、「運転免許の受験資格の特例に関する規定の整備」が盛り込まれた改正道交法が令和2年6月2日に衆議院本会議で可決成立しました。

大型・中型免許受験資格見直しのポイント

今回の改正道交法による、「特別な教習(特例教習課程)」を修了した者で、19歳以上かつ普通免許等保有1年以上の場合、大型免許中型免許の運転免許試験が受験可能となります。
大型・中型免許の特例による受験資格は次の通りです。

現行(令和4年5月12日まで)の免許制度

免許区分受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
普通1種18歳以上3.5トン未満2トン未満10人以下
準中型1種18歳以上3.5~7.5トン未満2~4.5トン未満10人以下
中型1種20歳以上
普通免許保有2年以上
7.5~11トン未満4.5~6.5トン未満~29人
大型1種21歳以上
普通免許保有3年以上
11トン以上6.5トン以上30人以上
2種免許等21歳以上
普通免許保有3年以上

施行後(令和4年5月13日から)の新免許制度

免許区分受験資格車両総重量最大積載量乗車定員
普通1種18歳以上3.5トン未満2トン未満10人以下
準中型1種18歳以上3.5~7.5トン未満2~4.5トン未満10人以下
中型1種19歳以上
普通免許保有1年以上
7.5~11トン未満4.5~6.5トン未満~29人
大型1種19歳以上
普通免許保有1年以上
11トン以上6.5トン以上30人以上
2種免許等19歳以上
普通免許保有1年以上

※「特別な教習 (特例教習課程)」の内容は、本来の年齢、経験年数により身に付くとされる「自己制御能力」、「危険予測・回避能力」を養うものとなっています。時限数は、適性(座学)7時限以上、技能34時限以上の計36時限以上。

なお、21歳以上で普通免許などを取得した場合についても、施行日の前後を問わず、特別な教習を修了した者で、普通免許等の保有1年以上であ れば大型免許・中型免許を取得できます。

普通自動車免許から一気に大型免許取得が可能になりました

免許取得しても安心できない特別ルールが

大型‧中型免許取得後 若年運転者期間(大型免許の場合21歳、中型免許の場合20歳に達するまでの間)に違反点数が一定の基準(累積違反点数3点以上。ただし一回の違反で3点となる場合を除く)に達した場合 は、若年運転者講習を受講する必要があります。
講習は9時間以上で受講を拒否した場合は特例を受けて取得した免許が取り消しとなる厳しいルールも。これは、中型免許の取得年齢が現行(改正前) から1年、大型免許では2年引き下げられることから、経験の浅い若年者が大きな車両を運転することへの安全対策として実施されます。

さいごに

たとえトラックの大型化、無人化やモーダルシフトを推進していても広いところでしか活用できないため運転手不足の効果はあまり感じられませんでした。
やはり、こういった免許取得の年齢引き下げが一番効果があると思います。
しかし、トラック免許の取得条件が厳しきなった背景として大きな事故があり、若年者の交通事故をいかに未然に防ぐかが大きな課題です。

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